血糖コントロールに影響を与える薬について
耐糖能異常をきたす薬剤で臨床上問題になるのは、副腎皮質ホルモン、甲状腺ホルモン。
その他、血糖コントロールに影響を与える薬剤には次のようなものがある。
プレドニン
重大な副作用に糖尿病がある。
ジプレキサ
服用と関連性が否定できない高血糖、糖尿病ケトアシドーシス、糖尿病性昏睡の重篤な症例が報告されている。
糖尿病の患者や、糖尿病の既往がある患者には禁忌。
リスモダン
重大な副作用として低血糖。
高齢者、糖尿病、肝臓病、血液透析を含む人透析、栄養不良の患者に発現しやすい。
ラシックス
低カリウム血症により、細胞内のカリウムが低下し、その結果、インスリン分泌抑制とともにインスリン抵抗性を生じる可能性がある。
高血糖、低血糖症状について
高血糖症状について
口渇、多飲、多尿、急激な体重減少など。
200mg/dL以上の持続する高血糖により、狡猾、多飲、多尿、夜間頻尿、急激な痩せ、多色、易疲労というような症状が出る。早朝空腹時の血糖値が、糖尿病の基準値126mg/dL程度の上昇であれば、自覚症状はほとんどない。
低血糖の症状
空腹感、手指振戦、動悸、生あくびなど。
発汗、不安、動悸、頻脈、手指振戦、顔面蒼白、頭痛、目のかすみ、空腹感、眠気(生あくび)、意識レベルの低下、異常行動、けいれんというような症状が現れる。
自律神経障害によって交感神経の刺激症状が欠如したり、低血糖を繰り返し経験することで、前兆がなく、容易に昏睡にいたって、重症になるので注意が必要。
★ ヘモグロビンA1cは1〜2ヶ月前、フルクトサミンは2週間前の血糖値を反映。
糖尿病について
糖尿病とは、インスリン作用不足により起こる全身の代謝異常をきたす病気で、慢性の高血糖が起こっている病態です。
1型糖尿病について
1型糖尿病では、インスリンを合成分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞の破壊消失がインスリン作用不足の主な原因となっています。
甲状腺疾患など他の自己免疫疾患の合併が少なくありません。
HLAに特徴があります。
HLAは、自己免疫起点を起こしやすい疾患感受性因子です。
発症年齢は25歳以下に多いです。肥満とは関係がありません。
発症初期の70%位の例に、GAD抗体、IAA、ICAなどが陽性です
GAD抗体とは、1型糖尿病の鑑別診断や2型糖尿病等で1型糖尿病への進行の予知的なマーカーとして注目されています。
IAAは、インスリン抗体で、血液中のインスリン抗体の有無が明らかになります。
ICAは膵臓のランゲルハンス島の細胞質と反応する自己抗体です。発症直後の1型糖尿病ではほとんどの例で検出されます。
2型糖尿病について
2型糖尿病では、インスリン分泌低下をきたす素因を含む複数の遺伝的要素に、過食、肥満、運動不足、ストレスなどの環境因子及び加齢が加わって発症するので、2型糖尿病の家系内の血縁者にしばしば糖尿病患者がいます。
インスリン分泌の低下にインスリン抵抗性が加わって起こり、肥満または肥満の既往が多いです。自己抗体については陰性です。
無顆粒球症について
血液中の白血球の成分のうち、顆粒球(特に好中球)が減少して、ほとんどなくなります。初期症状として、かぜや扁桃腺炎のときと同様な発熱、のどの痛み、全身の倦怠感などがあります。
無顆粒球症になると、細菌などに感染しやすくなり、肺炎や敗血症などの重症感染症を起こす場合があります。
メルカゾールの重篤な副作用として知られており、無顆粒球症は飲み始めて2か月間に多く発症することが知られていますので、のみはじめの2か月間は2週間ごとに血液検査を行います。
2か月をすぎても、定期的に血液検査をおこなって、副作用の有無について確認をします。
メルカゾールを飲んだり、飲まなかったりすると、2か月以降になっても、副作用が起こる可能性が高くなります。
ベルソムラについて
ベルソムラは、一緒に服用してはいけないお薬があります。
イトリゾール、クラリシッド、クラリス、ブイフェンドなどです。必ず寝る直前に服用する必要があり、アルコールと一緒に飲んではいけません。
食事と同時または食事の直後に服用すると、薬の効果の発現が遅くなる可能性があります。
薬の影響が服用の翌月以降に及ぶことがあるので、車の運転など、危険を伴う機械の操作はしないようにしましょう。
ジルチアゼム、ベラパミル、フルコナゾールなどとの併用により、ベルソムラの血漿中濃度が上昇して、傾眠、疲労などの副作用が増強される恐れがあるので、これらの薬を併用する場合、1日1回10mg考慮するなど、患者の状態を慎重に観察する必要があります。
頭痛について
頭痛には、一次性頭痛と二次性頭痛があります。
一次性頭痛とは、原因になる他の病気がない頭痛で偏頭痛、緊張性頭痛、群発頭痛があります。
二次性頭痛は、なんらかの疾患が引き起こす頭痛で、くも膜下出血、脳腫瘍などがあります。
偏頭痛が起こる仕組みとしては、頭部の血管が拡張することによって頭痛が起こると考える説と、脳神経の中で、最も大きい三叉神経が関与していると言う説があります。
典型的な偏頭痛は、頭の片側で、心臓が脈打つようにズキン、ズキンと痛む拍動性の頭痛発作を繰り返します。
前兆を訴える患者さんは偏頭痛患者全体の1、2割と言われています。
偏頭痛が起こる仕組みとしては、頭部の血管が拡張することによって頭痛が起こると考える説と、脳神経の中で、最も大きい三叉神経が関与していると言う説があります。
偏頭痛は20から40歳代の女性に多く見られます。偏頭痛の症状は50歳前後から、加齢とともに改善していくことが知られていますが、約3%の患者さんは、病状が悪化したり慢性化したりします。
ストレス、精神的緊張疲れ、睡眠不足、眠りすぎ、月経周期、天候の変化、温度差、旅行、臭い、空腹、アルコールなどが偏頭痛の誘発因子となります。
月経数日前から月経中にかけて片頭痛発作が起こることが多く、女性の偏頭痛患者の約半数が月経周期に関連して偏頭痛が起こることを自覚しており、これを月経時偏頭痛と呼びます。
緊張型頭痛は、首から肩、背中にかけての筋肉や頭の筋肉が緊張することで起こると言われています。
群発頭痛の発症のメカニズムについては明らかにされていない点が多いですが、頭部の血管の拡張が関わっていると考えられています。
群発頭痛の場合は目の後ろを通っている血管が拡張して炎症を引き起こすため、目の奥が痛むと言われています。
一次性頭痛で患者数が最も多いのは、緊張性頭痛です。
緊張性頭痛は、頭が重く締め付けられるように痛む頭痛でこの症状が30分から7日間続くものです。
群発頭痛の誘発因子としてアルコールによる悪化はかなり重要な特徴で、患者さんも自覚のあることが多いです。
薬物乱用頭痛を起こす可能性のある薬は、鎮痛剤、エルゴタミン製剤、トリプタン製剤、オピオイドなどで、1ヵ月のうち10〜15日以上服用する状態が続くと起こるとされています。
配合剤よりも1種類の鎮痛薬の方が薬物乱用頭痛を起こしにくいので、まずは1種類の鎮痛薬を選択します。
頭痛患者の9割は一次性頭痛であり、二次性頭痛の中でも重大な頭蓋内病変は1%未満です。
群発頭痛には通常の鎮痛薬の効果は期待できないため、受診が必要です。